入院回顧録 その四 産みの苦しみ


入院三日目。

看護師さんから尋ねられるのは、おならが出てるかどうか?


ガスが出るようになると、腸の動きが良くなってきている証拠らしい。


おならは健康のバロメーターである。




普段なら、ところ嫌わずブッスブッスと放ち放題の私のお尻。


しかし、手術を受けた後からは、おならもうんこも出なくなってしまっていた。



看護師さん曰く、術後は腸の蠕動運動が弱まるので、通常2~3日は出ないとの話。

(紙おむつの件は全くの杞憂であった)


日曜日から何も食っておらず、この三日間は絶食中なので出ないのは当然ではあるか。





さて。

その日の夕食から、久しぶりの食事を提供していただいた。


まだ、屁は出てなかったが、様子見で食べてみましょうとのことで、七分粥からのスタート。




三日間何も食べていない、飢えたる身でありながら、実は食欲はゼロ。


全く食べる気がおこらない。



というのも、私の腹にはドレーンといってチューブの管が穴を通して刺さっている。


このドレーン。


体内に貯留する膿などの浸出液を外に出す役割があるのだが、これを固定するために腹に巻いたサラシみたいな布切れがきつすぎて腹がつっかえてきつい。


(ちなみにドレーンを通して出る私の汁。かき氷のオレンジシロップそのものの色味で大変おいしそうであった)



さらに、寝てばかりのせいなのか、ゲップが止まらず食欲も出ず。


飯を食べたく無さ過ぎて、鼻水まで流れはじめた。


味も何もわからないまま、無理やり飲み込む。



他の患者さんが10分もかからず食べ終わるのに、私は一時間近くもかかってようやく終了。


しかも残すし。




罰行のような食事の時間が過ぎ、消灯も近くなった頃。


この晩、久しぶりに便意を催した。

看護師さんも、オナラが出ていないのは腸の動きが弱いんですよと心配しておったから、ここはひとつぶっといヤツをひねり出して、私は元気です!と主張したい。




点滴の棒をかたかた鳴らしながら、便所に到着。


便座に腰掛け戦闘開始。



ゆっくりイキむ。


痛みが走る。


休憩してまたイキむ。


痛みが走る。


痛さのせいで、休み休みの難儀な出産である。



この痛みなのであるが、右下っ腹(虫垂のあったとこ)が主に痛む。


だが、どういう神経のつながりか、術後以来、腹が痛むと同時にお尻の穴までもが、ひきつけを起こすような、割れるような痛みが始まって、そらぁもう辛い。



腹が痛む。


同時に尻が割れるほど痛む。


少し落ち着いてイキむと、また痛む。



傷と痛みのせいで腹圧がかけられない為に、本気でいきむことが出来ない。


しかも門出の門までもが痛んでいる為、長期戦は必至。



門の入り口付近で籠城中の私の赤ちゃん。


今回はかなりの頑固者らしく、カチカチとした肌触りが、直腸の壁を通して感じられる。




本物の出産はこんなもんじゃない。世のお母さんに負けるな!


と自分に喝を入れつつ、奮闘する。




尻の痛みと腹の痛みに耐えぬき、20分座ったか、30分経ったかわからないが、ずいぶんと長い時間をかけて、オナラと一緒に絞り出すことに成功。




出てきたお方はなんとも小さな塊であった。


だが、このコチコチさん。



三日間、体内で熟成されたせいか、ものすごく臭い。物凄い異臭。


なにより一緒に出た屁が尋常じゃないくらい臭い。



自分の体からこんな臭い匂いが出るとは、身も震えるほどの衝撃。


西野カナは会いたくて会いたくて震えるが、私は自分の屁の臭さに震えている。




思ったほどの実りは味わえなかったが、屁も出たし(臭いけど)、便所から出ようと立ち上がる。


この時、右手側にあった手すりに掴まって立ち上がったのであるが、この便所。



右手すり側の上の方にトイレットペーパーの補充用に棚があった。



しかも低い位置に。



糞闘にくたびれた私は、上も見ずに手すりに寄りかかって立ち上がった為、見事に棚が頭に命中。



気を緩めていただけにその激痛たるや。



アッと声に出した瞬間、力んだ拍子に腹筋にも力が入り、腹の傷口を傷める羽目に。


泣きっ面に蜂とはこのことか。



頭も腹も、お尻の穴までこじらせつつ、一人静かに就寝した。


comment

Only the blog author may view the comment.

No title

大変だったですね…
でもやっぱり食べるって重要なんでしょうね。
どこかの誰かが、1本の点滴より1口のスプーンなんて言ってましたが、
食えなくなると一気に悪い方向に行っちゃいますからねぇ。

それと、やっぱり屁は重要なんですね(笑
私も垂れ流し(爆)ですが、健康な証拠なんですね。
何気ないことがとってもありがたいことなんだなぁ・・・

No title

無事に出産、おめでとうございます。

しかし・・・お腹だけでなく、
お尻や頭まで痛くなりましたか(^_^;)

私は山登りの時によくこれやります。
急な登りを足元だけ見ながら「えぃ!」っと上がると
樹の太い枝が出ててゴィ~ンって。
危うく今登ってきたばかりの坂から
転げ落ちそうになること幾多・・・。

皆さん消灯でもう寝られてたなら
今、こんな、こんなで、痛かったのっ!
って、話せなくて、ウズウズしなかったですか~?

お疲れ様です

私も全然入院も手術もしたことない人だったので、
ちょっと入院にあこがれている?ところもあったのですが、
数年前に病気入院して、すっかり嫌になりましたね。
重病でなかったら、お見舞いに行くと、患者さんは、
静かにベッドに寝ていて、お花や本や、お菓子なんかに囲まれて休んでいるみたいなんですけど、やっぱり、病気や怪我はしないに限ります。
入院の実態は、楽しくないに決まってます。

無事に治る病気で、安心して任せられる病院なら、まだ、まし、っていうことで…。

しかし、安心して長いできるトイレで、よかったですねw

Re: No title

椎たけ夫 様、こんばんは。

食欲がない間は、今後美味い物は食べれないんではないか?
と心配してましたが、その後はすぐに食欲もでて、普段通りのいやしい男に逆戻りです。

屁は大事ですよ。
内臓の以上は屁にでまうからね。しっかり出さなきゃ。
人間、入れたら出す。出すなら入れる。
これが正解ですよ。

Re: No title

paya 様、こんばんは。

山登りですか。
私は一度も登山の経験はないのですが、
やっぱり危険は多そうですね。
個人的には急に腹痛をおこしたら、どこで尻を出すのかが心配で
山には登れそうにありません。

>今、こんな、こんなで、痛かったのっ!
>って、話せなくて、ウズウズしなかったですか~?

あの時は痛さでそれどころじゃなかったですね。
皆様。静かに休んでらしたし。
一人で枕を濡らす、寂しい夜でした。

Re: お疲れ様です

きくちゃん様、こんばんは。

私の入院生活は、序盤が痛みで物凄いきつかったのですが、
後半は暇との戦いでしたね。

とにかくやることがなくて。
退屈するってことがこんなにつらいとは、思いませんでしたよ。

あの便所。ちり紙の棚さえもっと高ければ最高だったのにw
03 | 2024/04 | 05
Su Mo Tu We Th Fr Sa
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
プロフィール

藻の上の旦那

Author:藻の上の旦那
玄界灘に浮かぶ壱岐で、果樹栽培に勤しむ中年です。
リンクはフリーにしております。
どうぞお好きに。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
来訪者様
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR